
誰しもが普段の生活の中で目にするパッケージされた食べ物。世界でもトップクラスの衛生管理の技術を持つ日本で、食品の充填・パッケージングを行う会社が丹波市にあります。普段コンビニやスーパーで当たり前のように見かける食品を、徹底的な衛生管理のもと、送り出している工場がハートパックさんです。
本日は、代表取締役の、笹倉一真社長にお話を伺ってきました。
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・人に喜んでもらう、関わってくれる人を大事に。
・機械をつくり、組み立て、動かすところまで関わる事のできる仕事。
・エンジニアと共に、品質管理の経験者も募集。
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ハートパックさんは、笹倉社長のお母さんが創業された会社と伺っています。創業のきっかけは何だったんでしょう?
最初は、とあるお菓子会社さんのバレンタイン商材があって、そこのお菓子会社さんも協力工場を持ってたけど、予想以上に商品が売れたと。追加追加で発注がきて、どこでパッケージするかと困ってた時に、うちの母親に声がかかって。結構最初はゆるい発注から始まったけど、そういう事もあった時代だったなあと。
それで、バレンタインが終わったらホワイトデー、終わったらレギュラー商品のチョコレートも詰めたいな、となっていって人数が増えていって、2・3年で新工場建てようって話になって。食品の中身を詰めるという事は、品質的にお客さんに担保しないといけないところが出てくるんですね。設備であったり生産設備もしっかり供給できるようにというのを追求して設備を入れ始めたんです。そこから会社にして、親父が営業をして、という形でハートパックの今につながります。
幼少期から両親が会社を経営し、仕事をする姿を見ていた笹倉社長。中学生の時には、学校に行く前にラインに入り、仕事を手伝っていたそう。夏休みには友達を連れて手伝いに来なさいと言われ、50人くらいのバイトを集めた事もあるんだとか。そんな笹倉さんは、大学に進学し、4年間神戸で大学生時代を過ごします。
絶対継がへんぞって思ってたんですよ(笑)都会で働くんだ、って就職活動もして決まって。当時は違う世界をみたいなって思ってたんです。でも、大学4回生の時に父親が倒れて、母親は現場の事メインで経営の事には触れてなかったから、経営機能がストップしてしまうとなって、帰ってきてくれと言われたんです。それで、現場の仕事からやりはじめて。そうしたら抜けられなくなってくるんですよね(笑)中途半端な事できなくなって、2年後くらいに俺社長やるわ、とか自分で言いだして。
僕父親の事好きっていうのはあったんですよ。親父の営業とかに一緒に行って、人付き合いについて学んだところもあったりして。そこが楽しかったかな。僕ら現場仕事なんで、現場に全て情報があるんですよ。だからお客さんの会社に行ってお客さんに説明する事もあるんですけど、品質面とかはこっちまで来て、見てもらうんですね。その中には経営や仕事の大先輩とかもいてて、人との接し方とかも教えてもらったりとか。そうなりかけたら楽しくなってきて、抜けられなくなってきたかなと(笑)
人に選んでもらう。関わってくれる人を大事に。
社長業というと、やっぱり社長は外に、都市部に出て営業しに行かれているのでしょうか?
そうでもなくて、ウチの技術とかサービスを知ってくれてる営業の人とかから紹介がきて、OEMとしての依頼が来たりもするんです。わざわざ仕事くださいって言う世界ではないんですよ。
だから、きっちりと仕事したら、仕事として返ってくる。
コンビニとかに出る商品もあるから、例えば食中毒出したらハートパックの品質は落ちたぞ、となるんですね。なので、本当に品質には十分気をつけています。こういった充填とかの仕事っていうのは結構設備がいるんですね。
品質をしっかりと管理する事で、次の仕事に繋がっていく、やはり品質が一番大事なんですね。
もちろん、それも大事なんだけれど、それだけじゃない。例えば僕は、営業マンが営業に来てもご飯に連れて行ったりね。業者さんですけど、そうやって人を大事にしていたら別の場所に行った時に、宣伝してくれるんですね。営業さんとか、社長さんとか、関わってくれる人の事を大事にすると、価格で選ばれたり仕事がどうって選ばれるんじゃなくて、あんたのところだから頼みたいという仕事が入ってくる。
あとは、そこのお客さんと話して、ウチでしかできひんことを設備投資したりピックアップしたりして、構成してくっていうのはやっぱり面白いしやりがいがありますよね。
例えば、西日本でほぼないよ、というのはカップスープとか。1日15万くらい作ったりするんです。窒素を入れたりとか、特殊な設備を中古で買って、お客さんに合わせて機械の仕様を変えてみたりとか。
簡単な機械とかやったら自分とこで作ったりするんですよ。例えば、ふりかけの瓶をガチャンと締め込む機械があったりとかするんですが、修理の技術者さんを呼んで修理してもらって、とやると時間もお金もかかるから、エンジニアが社内にいるんです。
機械をつくり、組み立て、動かすところまで関われる仕事。
エンジニアさんが社内におられるんですね、例えばどんなお仕事をされているんでしょうか?
僕がお客さんと話して、エンジニアに相談するんです「こんなことできへんかな?」って。そしたらじゃあ「図を書いてみますわ」と。それで、どれくらい費用がかかる?というのを材料代を見積もり取って書く。それでこんだけの予算でできます、それが高いか安いかを見て、安いんやったらいこか、とか、高かったら無理かなとか。
この仕事は、技術職のため、現在ハートパックさんでも広く募集をかけておられない職種です。ですが、現在一人でお仕事をされているそうで、後継者を育てて行かなければと、社長は考えておられるそうです。
例えば、どんな事ができる方だったらこのエンジニア職に適していますか?
まず図面書いて、仕組みを落とし込んで、そこにどんな部品を使ったらいいかというのがわかる人。
その中でこういう材質のものはこういうところで調達できますよ、とか、材料の仕入れ先を持ってるって人がいたらそれは最高ですよね。そのあと実際に材料を発注して、金属が来て、組み立てて、それを動くようにせなあかんけど、そこで電気が必要。電気のモーターをつけて動きっぱなしになるから、それを止めたりする制御がわかる人。
今けっこうバラバラな人が多い、メカしかできません、制御しかできません、組み付けしかできません、とか。そういう人はいるんやけど、ある程度うちに来たら全部をやってもらう事になるかな。
技術課の高階さんは、大阪の会社で機械や電気関係のエンジニアとして働いておられましたが、丹波市へUターン。笹倉社長の声がけからハートパックさんで働き始め、現在は工場で使う機械を一から作ったり修理や組み直しをする凄腕のエンジニアです。
仕事はのびのびやらせてもらえてるなと思っています。オリジナルで作らせてもらったり、そういうのがもともと好きだったので楽しいですね。例えば、機械がどういう風に動くの?とかどうやったらこうなる?という事を考えるのが好きな人は、向いてるんじゃないかと思います。あとはやってるうちに慣れてきますよ。
高階さんはさらりとおっしゃいましたが、ハートパックさんに来られる前から様々な実績をお持ちの方でした。ですが、信頼する社長と一緒に自分で一から作り出していく楽しみ、そして今の仕事に、とても満足しておられるように感じます。
例えば、全部でなくても、仕入れ先は知らないとか、一部はできないとか、そういう事は会社で教えてもらいながらやっていく、というのも可能なんでしょうか?
そうやね、制御と図面・CADが分かってたら、後は教えていけると思う。制御がわからへんかったら学校通ってな、というのはあるかもしれないね。これって、結構外国語勉強するのと同じで、なんぼ学校通っててもできる人とできひん人はいると思ってるので、向いてるか向いてないかは仕事してみないとわからない所はあるんだけど。
例えば工業機械や制御の仕事をしているけど、毎回同じプログラムばっかり書かされて嫌気がさしてるとか、そういうのやったらその後の工程も前の工程もできるよ、って。そういう所は普通のエンジニアより楽しいかもしれないですね。
エンジニア職と共に、品質管理の経験者も募集。
食品の品質管理の経験がある方で、そういう仕事の経験を活かして働きたい、という方も嬉しいですね。品質管理は社長直結で仕事をしてもらう事になります。現場を厳しくチェックしないといけないので、嫌な事いう役ってなかなか育たないんでが、最終の品質をチェックして、こんなのじゃいかんとか言って。水分値はかったり大腸菌調べたり、分析とか、原因とか。例えばうちで充填した商品を食べて食中毒が出たとか、異物が混入したとかそういう話になった時に、うちは大丈夫ですよ、うちの工程では大丈夫ですよね。という最後の砦を守ってもらうような役割になりますので、重要な仕事です。
人と関わり、人を大事にする。笹倉社長の大事にされている事が、お人柄を通じて十分に伝わってきました。ただ食品を充填するだけじゃない、ただ機械を作るだけじゃない、そこには最後にこの商品を食べるお客様に少しでも喜んで欲しいという気持ちが込められているように感じました。社名に違わず、「心を込める」という言葉が似合う企業さんだなと感じました。