安心・安全の食を卵から考える。六次産業化を志す平飼い卵農家~株式会社芦田ポートリー~<農業>

世の中全体の健康への意識が高まる中、当然食に対する安全・安心を求める方は多くなってきている様に感じます。「誰がつくった・育てた」食べ物なのかがわかる物を食べたい。丹波市氷上町には、そんな方に支持される平飼い卵の農家さんがいます。卵を産む鶏が食べる餌までを遺伝子操作していない丹波産のもので大切に育んでいるこだわりの養鶏や、社長の考え方、今後のビジョンについてお聞きしてきました。

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・鶏が食べる餌で変わる味。細部まで手を抜かない芦田ポートリーの養鶏とは?

・丹波市を襲った豪雨災害で流された鶏舎。それでもただ、前向きな社長の考え方。

・卵を基軸にした6次産業化。スイーツ・加工品・飲食事業の立ち上げに関わる人材を募集!

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平成3年から卵の卸問屋として丹波でこだわりの卵を扱う芦田ポートリーさんは、現在の芦田昭也社長に継業された当時は問屋のみの機能を持った会社でした。そこから、卵の製造までを行う会社、そして卵を使った加工品も製造する会社へと、進化を続けています。広い土地と豊かな自然の中で育まれる鶏たちは、丹波で育つ有機野菜のニンジンの皮や丹波で生産されるゴマの搾かす等丹波産の作物に加え、「天然のビタミンC」である、鶏舎の敷地内の雑草や生き物も食べてのびのびと育っていくのが特徴です。

食べる餌で変わる味。そして、黄身の色が変わる??

基本的に、鶏が食べる餌は丹波産のものが多いそう。その他にもフィルターを通した丹波の地下水・天然で育つ草など「安全性の高い餌」にこだわる芦田ポートリーさん。鶏と卵の事を教えてもらいながら、芦田社長にお話を聞いてみました。

自分の会社で卵を作ろう、と思ったきっかけはあったんですか??

今後先をみるとどんどん(丹波で)鶏舎が減るいうんと、安全な卵が欲しいという消費者団体・消費者が残るというのが2つあったから、その確保のために養鶏所始めたんや。まあ、両方しとったわけやね仕入れて売りながら、自分ところの農場もやってと。

それが28歳くらいの時ですか?やはり経営者として先を見てたんですね?

このままの事業やと先細りやと、それは思ってた。そして、今の段階の芦田ポートリーのビジョンというか目標は飲食業を持っていきたいと、(卵の)製造業をもった加工場で店を持ちたい。菓子製造業と惣菜は許可とれて、やりはじめてるから、これから飲食店も。

芦田ポートリーさんの「なめらかプリン」は同じ丹波市内にある丹波乳業さんの牛乳を使って作られています。丹波の地の水と食べ物を食べて育った鶏が産む卵と、牛が産む牛乳。丹波で、安心安全に強いこだわりをもった生産者さんたちは、お互いにコラボして新しいものを生み出していきます。また、芦田ポートリーさんでは新しい挑戦にも意欲的です。

自分とこのオリジナルの店を出すという事を目標にすると、卵って当たり前のようにして出てくるけど、この商品(例えばオムライスとか)を作るためにと考えると、(黄身まで)真っ白けの卵を作るとか、そういう風に自分ところで工夫ができるというのは楽しいし、そうなると、日本で一個しかないとか、オンリーワン(のオムライス)やし、なんぼでもすることある。楽しいよ。

白い黄身?ができるんですか??

卵の餌のなかの、とうもろこしとか、色がつくやつをやめて、例えばコメに置き換えるとか。すると白くなる。で、それを使う商品をつくればいい。

卵の黄身が黄色いのって?

色素やな、親鶏が食べたもんが色素になってでてくる。オレンジ色のやつは赤ピーマンの粉末とかを食べるから、とうもろこしの黄色に赤色がかかってオレンジになる。白い黄身をつかって、考えるんやったら自分とこの製品・卵の方を改良できる。

今後は、飲食業に力を入れていきたいと語る芦田社長。丹波の地でしか育てられない卵に、新しい発想を掛け合わせていく。地域資源に人をかけ算すると、オンリーワンの地域の魅力になっていく。芦田ポートリーの社長とお話すると、そんな事を感じさせられます。

丹波市を襲った豪雨災害。会社一丸となって取り組んだ鶏舎の再生。

2014年8月の16・17日やったかな?平飼いの鶏舎は借地で借りとったんやけど、17日の未明にすごい雨が降って、田んぼから家から全部流されて、うちのやってた鶏舎も4棟あるうちの2棟が全滅で、あとの2棟にはいけないという状態があって。鶏は幸いなことにおおかた生きとったんやけど、今度は餌が運べないということがわかって。んでまあ、タンクに残ってる餌が一週間分しかないから、計算したら一週間しかもたんということで、いつも卵買ってくれてる消費者団体に電話して状態を説明して、鳥の救出作戦と。

日常の仕事があってから復旧作業して、もちろん他の人も被災してるから手伝ってくれる人も限られてるなかで、一週間でなんとかやりきったと。その時に商工会の人と相談してて、そこが丹波市役所の農林振興課に相談かけてくれて、水害で被災にあったところを助ける事業をひっぱってきてくれて、現状説明したら、ここまでは手伝ってあげるという話になって、事務所のあった近くの土地にたてよかという話になって、業者に見積もりとって、同時進行で金融機関も融資してくれたり。神がかり的にトントン拍子にいって、そういう条件のなかでやり切れたと。

豪雨災害で流された鶏舎の代わりに、事務所の隣の農地に建てた鶏舎。元々農地だったため農地転用の届けを出したり、業者に見積もりをとったりしながら、豪雨災害のあった8月から、年度末の3月までに鶏舎を完成させ、新しい鶏を入れだしたそうです。しかもなんと、土台や基礎はプロに頼んだものの、鶏舎のほとんどを社長が自分で作ってしまったそうです。

加工場も自分で建てたよちょっとだけ。土台は業者に頼んで、あとは自分でやってしもた。やりたがりやからなあ。(笑)平飼いの鶏舎も、基礎と枠だけ業者に建ててもらって、あとは全部自分で作ってしまう、やっぱもの作るんは好きなんやろな、丁寧なんはできへんけど・・。潰れた鶏舎にも網とか部品があったし。

よく折れなかったですよね・・

うん、立ててあたりまえのように普通に、立てないかんからという感じで。一番ジレンマやったんが、4000羽から3000羽いた鶏を1000羽にするいうのは、規模縮小やから、それをどうやっていくのかは色々と考えた。規模拡大するときは計算しやすいんやけど。

簡単に言えば、3000羽が1000羽になって、(鶏の数が)3/1になったら、卵3倍に売れば、一緒やから。けどそれは(卵の質が落ちると)世間が認めてくれへんから、ますます加工のほうに力いれよかと。作る側からいうと利益あげるとかいう計算はできるけど、お客さんが納得してくれるところまで技術を上げていかないと買ってくれへんから。そのための努力は、しましたね。

無いものを求めるでなく、あるものを大切に。

社長にとって、こういう人とは気があう・一緒に働きやすいという価値観ってありますか?

難しいかもしれへんけど、価値観が合わなかったらこまるさかいな、食べもんやさかいに。やっぱり普通に食べれる人、贅沢しない人。基本考え方は自給自足やから。作ったもん食べて、足らず辛抱するか、買ってくるか。よっぽど時間とか必要になってくる考え方やけど。

芦田ポートリーで働くために、丹波へ移住してきた関さんにも、お話を聞いてみました。関さんは豪雨災害の一ヶ月前に芦田ポートリーに転職・丹波へ移住してきました。現在では申請書類関係や事務仕事・WEBサイトの運営や情報発信などほぼ全てを社長から一任されています。

元々は神戸でオーガニック系のものを扱う会社のバイヤーをやっていて、芦田ポートリーはその当時の取引先でした。バイヤーの仕事のあと、八百屋で1年間修行をしながら、芦田ポートリーの6次産業化のお手伝い等もしていたんですね。で、タイミングが来たと思ったので社長雇ってください、って移住してきました。

今の仕事で面白い事ってなんでしょう??

社長がやりたいこと、やっていきたいことを一個一個かたちにしていく時は面白いですね。社長がしたい事を聞きながら、どうやったらやっていけるのかを考えたり。

社長ってどんな人ですか?

前向きですね。常に進む事を考えてると思います。とりあえずやってみよう、という事をやらせてくれる。その時に、会社の利益になることと、おいしいって言ってお客さんに食べてもらおう、という考えをちゃんと持っていれば、色々とやらせてもらえますね。

丹波に移住してから仕事を探し、一度は別の会社で働くものの、2週間インターンをした芦田ポートリーが忘れられず働きに来られた戸田さんもIターン。現在は鶏舎のほとんどを任されているそうです。

2週間くらいインターンをしたんですが、その時はここで仕事する、という覚悟が持てなかったんです。一次産業いいよね、というのは思っていたのですが。

そのあと、やっぱり芦田ポートリーさんで働きたい、って思った理由はあったんですか?

全部ですね。社長の人柄、会社の雰囲気、仕事の内容。自分が気持ちよく過ごせる場所だと思ったんです。

芦田ポートリーさんでは、みんなで食べる作物も事務所の近くの畑で育てています。先日イノシシに全部食べられてしまったそうなのですが、植えるものを変えて再チャレンジ中でした。

飲食事業の立ち上げ・加工品事業の拡大に向けて、加工・接客ができる人を募集!

ウチは鶏はこうです、米はこうです堆肥はこうですということは勉強してもらうんで、あとはもう美味しいもんを作れる環境は整備すっから、これやろうあれやろう、って自分でそういう感じで頑張ってほしいなって思う、まだ整備してないけど、極力一個人としては認めていきたいから。

いつも笑顔で豪快に笑う。そんな芦田社長。この人の周りに様々な人が集まるのがわかります。食の安全を、お客さんの「美味しい」を何より大事に。芦田ポートリーさんが卵から考える、六時産業化の事業にご興味を持った方は、ぜひ一度事務所の門を叩くところから、はじめてみてください。芦田ポートリーで働く素敵な方達に会うだけでも、田舎にこんなところがあるのか、と価値観が変わるかもしれませんよ。

 

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