25年以上続ける、無農薬の米づくり。農薬を使う事に感じた違和感。安心して食べてもらえるお米を。

日本で農薬を使ったお米づくりが普通になったのは、今から約25年ほど前。当時は収穫量を上げるため、農業の作業量を軽減するために多くの農家さんが農薬を使った米づくりを始めました。そんな中、可能な限り無農薬のお米づくりを続けてきた農家さんが、丹波にあります。

当時は農薬を使った農法が当たり前だった。けれど農薬を使った次の年、季節に発生する虫や生き物が発生しなかった。これではいかんと、そう思った。

宮垣農産の社長、宮垣富男さんは周囲の農家さん達が農薬を使った農法を始めたとき、その違和感を感じたそうです。虫や生き物を殺してしまう農薬を、人の口に運んで良いのか、当時は周囲の人たちに不思議がられながら宮垣さんは一人、無農薬・減農薬のお米づくりを続けました。

農薬は減らして、生産量は上げる

ポリシーとして農薬を減らしていきたいという想いはあったけど、収穫量を減らしてはいかんと、うちは大規模農家としてやっていくんだと。そういう想いがあったから、農薬を使わずに収穫量を上げる、その試行錯誤を毎年繰り返しやってきた。

農薬を減らす考えを持ちながら、収穫量は増やしていく。大規模農家として確立していなければ後継者が育っていかない。難しい二つの課題を繰り返し試行錯誤した「技」がそこにありました。

稲にカメムシやハエなどの害虫がたかるのは、稲が酸化しているから。魚汁で発酵させてアミノ酸化させる、完熟堆肥を撒くと、害虫がたからない稲が出来上がる。

水の豊かな丹波・その水を汚さないように。

ここは一番上流の、水がきれいな土地やから。その水を汚して下に流さんようにすることは考えてる。農薬を使った水が下流の方に流れていったら、結局その水を飲むことになるやろ。

農家にとって大切な水。丹波の豊かな水の恩恵を受けるからこそ、大事にしたいという想いをお聞きすることができました。

土づくりにかける想い

宮垣農産さんでは、稲刈りを終えてすぐの10月ごろに、来年度の土づくりを始めます。早くから有機肥料をまき、土を耕すのは生息する微生物の働きを促進するため。18℃以下の気温になると微生物が活動を休止し土中の藁を分解してくれないため、10月の土作りと田植えの前に分けて土作りを行います。

二段乾燥の技術

美味しいお米の質を保ちながら多くのお米を乾燥することができる、二段乾燥の技術。乾燥機をかけると、上の方のお米と下の方のお米で乾燥にばらつきが出てきます。このばらつきを抑えるために、宮垣農産さんでは乾燥の途中で一度休めてから、再度乾燥機をかけることで、乾燥のばらつきを抑えてひび割れ等を防いでいます。こうした工夫で、天日干しに近い乾燥法を実現しています。

一筋縄ではいかなかった、農業人生

周りの農家はみな農薬を使ってお米づくりをしてた。無農薬にこだわったことを笑われたこともあったし、自分ももうダメかと思った事も何回もあった。けど、安心できるお米を食べてもらうために妥協はせんかった。

農薬を使って、稲を荒らす害虫や雑草を遠ざけることは簡単なこと。でもそれが本当に良いのか。ご自身が感じた違和感をたよりに、宮垣さんは無農薬のお米づくりを続けます。

雑草を刈るための草刈機は、昔のものが一番良かった。だから夜中に車を走らせて東北までいったこともあったな。もう製造されてなくて、あるところを見つけ出して。今でもその機械が一番ええなと思ってる。

周囲が使っているから、と意見に流されるのではなく、ご自身が感じた感覚をたよりに独自の道を貫いた宮垣農産さん。現在は都市部の百貨店やこだわりのお米やさんで、高単価でお米を卸し、大規模農家として成功されています。今年もまた田んぼの数を増やし、収量を上げていくつもりとのこと。人数も少なく経営をされていますが、本気で農業を学びたいという方は、一度宮垣農産さんの門を叩いてみるといいかもしれません。

宮垣農産で働く、息子の宮垣良一さん。一時は農業を継ぎたくないと丹波を離れ、神戸で暮らしていたが、Uターンして家業を継ぐことを決意。他の農家でも農法を学んで実家に帰った。実家がこだわった製法で作っていたこと、そして他地域で農業を学んでいたときに「丹波いいな」とよく言われたことで地元のブランドを知った。次期社長として、ただ農業をするだけでなく地域のPR会社や、卵農家さん、酒屋さんともコラボしたりと人とのつながりも楽しみながら、日々技を磨いている。

 

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