株式会社 村上社寺工芸社(日本全国の神社・仏閣の屋根を華麗優美に葺きあげる企業)

日本に古来から伝わり、国の選定保存技術に指定されている檜皮葺・杮葺・茅葺の植物性屋根を主に施工している会社、創業大正4年(株)村上社寺工芸社さんにお話しを聞いてきました。

 

 

 

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・創業100年 伝統の技を駆使し、華麗優美に屋根を葺きあげる

・若い技術者を育成、職人の技を継承する土台づくりとは

・文化財に携わる仕事の分野を、ユネスコの世界遺産に。伝統技術を守り伝承する

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創業100年 伝統の技を駆使し、華麗優美に屋根を葺きあげる

 

 

創業100年。今に至るまでの経緯をお聞かせ頂けますでしょうか?

 

初代である私の祖父が、大正4年に静岡県の小國神社で檜皮葺の仕事をさせていただいたのが創業のきっかけとなり、今年で103年になります。2代目である私の父が昭和32年に初めて安来の清水寺で重要文化財の仕事をさせていただいて、それが会社にとっての重要文化財の第一号でした。それから京都御所の復元工事など、重要文化財の仕事をさせていただいたりと、先代が現在の村上社寺工芸社の基盤を作りました。

 

 

今までで何件くらい重要文化財の施工に携わられたのでしょうか?

 

そうですね、年間平均すると5、6棟くらいはしていると思いますね。過去に携わらせていただいた重要文化財の総数で言いますと、小さいものも入れると400棟くらいになりますでしょうか。現在は社員数は18名です。実際現場に携わっていただいている職人が15名になりますね。

現場が近くには少ないということですが、こういった大規模な工事に対応できる同業の会社は全国的に数が少ないのでしょうか?

そうですね。今私たちが所属している屋根工事保存会というのは、約200名の職人さんの集まりです。その200名で全国の檜皮葺や、こけら葺の仕事をしているという状況ですね。

正会員の方が39名おられますけれども、檜皮、こけらに限っては、15,6社くらいでしょうか。ですから、5人規模、10人から20人規模というのは数少ない会社ですね。大企業からすると本当に小さな、小さな集団でこの仕事をしていると思います。

 

 

 

代表取締役社長 村上英明様

 

 

 

 

日本に古来から伝わり、国の選定保存技術に指定されている檜皮葺・杮葺・茅葺の植物性屋根を葺く働き方についてうかがっても良いでしょうか?

 

檜皮葺というのが、耐久年数が30年から35年くらいが一つの目安なんですね。一度葺くと30年持つので、また屋根をめくって新たに屋根を葺いていくという。ただ、一番大変なのは近くに現場が少ないので九州であるとか、静岡県であるとか遠いところの仕事が沢山あるので、どうしても旅仕事になるんです。昔は仕事が始まってその工事が終わるまで3カ月であろうが半年であろうがずっと現場で生活をし、仕事もし、というのが職人の実態だったんですね。現代ではそういったことをすると、こういう職人の道に入ってくれませんので私の会社ではいくら遠くても2週間に一度は自宅に帰って家庭サービスもしてもらわないと、と考えていまして、2週間をひとつのサイクルで仕事をしています。

 

 

 

※重要文化財 賀茂神社 屋根改修工事(兵庫県たつの市御津町)

 

 

 

 

若い技術者を育成、職人の技を継承する土台づくりとは

 

 

若い職人さんが多いと聞きました。職人さんと言えば若い方が多いというのは珍しいと思うのですが。

 

昭和30年代、40年代というのは、若い職人さんがほとんどいなかったんですね。仕事もなかったし、地方にも色々な仕事が来たので、わざわざ旅仕事を希望して職人になるという人が少なくて、昭和49年に父の代の方々が文化庁へ行き、若い方を研修して育てたいと申し出て、取り組みはじめてから40数年になります。そして、現在は職人の平均年齢が30歳代半ばという若い若い集団になり、技を継承する土台が出来たかなと思います。私の会社でも一番若い方で20歳、ベテランの方で52歳ですから、平均すると30歳半ばから40歳の比較的若い集団でこの技を磨き、施工しているということになると思います。

 

 

伝統工芸を現代に継承し、職人さんのお仕事の身分保障や収入を安定するために組織化し、尽力されたとお聞きしました。そのあたりをうかがってもよろしいでしょうか?

 

昔は、職人さんというのは割と身分保障とか、安定した収入がなかなか得られない職種ではありました。何とか私たちの世代がもう少し安定した所得にしていきたいということで月給制にし、少しずつ所得も上がっていくように文化庁にお願いをしました。少しずつですが、今若い人達の世代に向けて安定した環境整備ができてきたと思います。昔は1日働いてお金を頂戴するような日払いでした。それでは今の若い人たちが住宅ローンを組んだりする時に不安定な状況になりますよね。すこしでも安定した職人像をと思って会社経営をしています。ただ、昔ながらの職人気質というか、我々でこの日本文化を支えるんだ!華麗優美に屋根を葺く職人としての想いは常に持ってほしいと考えています。

 

 

 

 

 

 

文化財に携わる仕事の分野を、ユネスコの世界遺産に。伝統技術を守り伝承する

 

 

今後の展望や会社経営で大切にしたいことをお聞かせください。

 

今、若い方が育ってきています。本当にありがたいことです。これから若い方が自分の力を発揮できる場所と仕事をより安定して確保していくというのが、一番会社として課せられたことだと思っております。現場では、誠心誠意心をこめて発注した方々の期待に応えるように良い仕事をしていくということ。その当たり前を大切にし積み重ねていくこと。村上社寺として最高の技術と誠実さを、お客様に提供したいと考えております。

お客様に「ああ、村上社寺にお願いして良かった。」と言って頂ける仕事を続けていくことが出来れば幸せだと思います。

あと、私たちの団体を含めて文化財に携わる仕事の分野を、ユネスコの世界遺産にしようという動きも出始めていますので、夢ですけれども、伝統技術を守っていくという仕事がユネスコに登録されるようなことになれば若い人たちの励みになりますし、皆さんにも喜んでもらえることができるのかなと思います。

 

 

 

 

専務取締役 村上貢章様

『伝統・技・人』歴史を紡ぎ、継承する。

 

 

実際にどのように屋根を修繕されているのでしょうか?

 

主に屋根の施工では、植物性の材料を使い、代表的なものは檜皮葺、檜の皮を使って屋根を葺いていきます。もうひとつは木の板、サワラや杉を使う板葺きですね。これはこけら葺きと呼ばれる作業です。あとは、銅板を使った銅板葺きですね。弊社では主に植物性のものを使い、屋根を施工していますが、神社やお寺など色々な建物があり、神様をお祀りしている屋根を施工するので、絶対に雨を漏らさないということが私たちの使命だと思っています。作業工程は、大きく分けて材料採取、檜皮葺だと、桧の皮を必要とするのですが、桧を求めて山をまず探しまして、樹齢80年以上の木から皮を取っていきます。木を伐採せずに立木のまま桧皮を取っていくのですが、一切機械は使わずにヘラという道具を使って皮を剥いていきます。その時に重要なのが、木の内部を傷つけずに一枚薄いところを残してヘラを入れて、皮を剥いていくことです。剥いた皮を山で一定の長さに整えて、丸皮という一束30キロ束にこしらえをして、それを会社に持って帰ってきます。材料を取った後は、2つ目の項目として材料成形という作業に入ります。それを私たちは、切り皮とか、皮切りと呼んでいるのですが、屋根の色の部分に形を合わせないといけませんので、色んな形に整えていきます。この時、桧皮包丁という特殊な形をした包丁を使います。

作った材料を現場へ持って行きまして、職人さんが3人から4人並んだりするんですけれども桧の皮を1.2センチずつずらしながら重ねていき、それを竹釘を使って屋根を葺いていきます。皆さん驚かれるんですが、その時に私たちは、竹釘を口に含んでそれをリズミカルに口から釘を出しながら屋根金(やねかな)という金槌を使って屋根を葺いていきます。

 

 

 

※檜皮葺きで使用する屋根金(やねかな)

 

 

 

 

※檜皮葺きで使用する竹釘

 

 

 

※1枚1枚重ね華麗な曲線を葺きあげる。

 

 

 

 

仕事のやりがい・楽しみというのはどういったところでしょうか?

 

文化財の建造物に携わる仕事というのはなかなかないと思います。例えば、出雲大社だったり、皆が行きたいなと思う国宝の神社、パワースポットですね。屋根に上って仕事をするという職種はなかなかないと思いますし、自分で作って人に見てもらえるというのはすごくやりがいがあると思います。我々が工事をした文化財を見て、参拝客、国内外観光客、日本の文化を見て感動してくれますよね。そういったところが醍醐味なのかもしれませんね。

 

 

 

文化財を扱っているということに仕事のスポットがいくかと思いますが、それ以外の小さな楽しみや、やりがいというのは何かありますか?

 

各地に行けるというとおこがましいかもしれませんが、社長も旅仕事と言っていた通り、本当に色々な場所に行けます。それが楽しいですね。レアケースでいうと、海外も過去に行きました。僕は聞いただけですがカナダ、イギリスに研修にいったりとか。他業種ですが、茅葺の職人さんもよくフューチャーされて。イギリスの方に研修に行かれたりとか。北は北海道、南は沖縄まで文化財のあるところに行かなければいけない時がありますので、そういうのが苦じゃない人は、人とも触れ合えますし楽しいと思います。

 

 

文化財を扱うという責任ある仕事だからこそ、時には厳しく。時には楽しく。人間関係がしっかりと構築できるような職場環境のイメージがありますが、職人さん達が交流する機会はありますか?

 

確かに職人さんて、皆さんが思われるように厳しいとか、怖いとかあるかと思うのですが、実際厳しいところはあります。でも、色々な所に行き、先輩と夜ご飯に行ったりとか、その土地の物を食べたりするのも楽しいと思います。会社でもなかなか顔を合わせる機会がないことがありますので、お正月は新年会をしてスタートをきりますし、夏の長期休暇前にも全員で集まってバーベキューをします。その時は社員さんが中心となって、お金を積み立てて好きなようにお肉を頼んだりして、ワイワイしてその後も飲みに行ったりしています(笑)有志を募ってそういった会をしたり、楽しいこともしていますね。

 

 

社内の交流企画を従業員さんで企画しているんですか?珍しいですね(笑)

 

はい。他にも、二、三年に一度旅行に行くといったことも皆で企画してやっています。幹事を順番に回して、行きたいところを皆でプレゼンテーションをして(笑)先輩からも色々言われるんですけども、結局みんな楽しんで帰ってくるという(笑)職人も段取りが大事なのでそういったところにも繋がってくるのかなと。辛いことがあれば、楽しいこともないと。仕事も遊びも段取りが大切ですからね(笑)

 

 

 

 

 

 

専務から最後に伝えたいことはありますか?

 

2018年の1月に専務に就任いたしました。今後のことで、仕事について色々と考えることがあるのですが、若い人に限らずコミュニケーションをとって、皆に村上社寺ってすごいなとか、いいなとか、仕事の部分だけではなく全体的にいい会社だなと言っていただけるように勤めていきたいと思います。

 

全国各地の文化財をはじめとする建物を、日本古来の伝統の技で守り続ける会社。当たり前を大切に、「文化」「技術」そしてそれを継承する「人」を大切にしていると感じました。職人仕事と言えば少し年齢層の高いイメージがあるのかもしれません。村上社寺工芸社さんは技術をこれからの若い世代に継承し、その先を見据えている企業でした。オートメーション化が進む現代社会の中でオートメーション化ができない「仕事」や「心」が村上社寺工芸社さんにはありました。

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