
自分で選んだから、充実感と自由な暮らしがある。丹波市で働く人たちが実際考えていることや思っていることはどうでしょう?求人情報だけでは分からない、働く人たちに迫ったインタビュー企画です。第一弾は竹岡農園で働く高石さん。小学校から農業をやりたいと思っていた高石さんにとって竹岡農園での仕事はどうでしょう?思っていた印象と違ったことについても、うかがってきました。
高石さんは、丹波市のお隣の西脇市出身。竹岡農園で働くために移住してきました。新しい仕事と、初めて住む土地。一口に「田舎で農業」と言っても様々な農法の違いや土地の特性もあります。丹波市の竹岡農園に働きに来た高石さんはどんな事を感じたのでしょうか?
竹岡農園さんを知ったきっかけは?今はどんなお仕事をされていますか?
仲の良い、知り合いの飲食店さんに農業したいと話していて、紹介してもらったんです。今は毎日農業の仕事をしていて、楽しいですよ。やりたかったことをできている感じです。
もともと、農業をしたいと思ったきっかけはあった?
おじいちゃんが家庭菜園をやってて、お手伝いをするのが好きだったんです。だから、小さい頃から農業をしたいなと思ってて。おじいちゃんが4年くらい前に亡くなって、それで余計に農業やりたいなって。
農業のお仕事、竹岡農園でのお仕事はどうですか?楽しい?草刈りとかしんどいこともある?
結構、農業って体力的にしんどいかなと思ったんですが、どっちかというと精神的にすごい疲れるんです。私が弱いだけかもしれないんですけど、同じ事を2~3時間ずーっとやるから、考えすぎてしまったりしんどくなったりはしますね。でも、お世話している作物が大きくなっていくのを見たりするのも好きだし、作業自体も好きなんです。草刈りは、確かにしんどいですが(笑)別に嫌いじゃないですね。やったら綺麗になるし。
家族とか友達とか、まわりの人の反応はどうでした?都会への憧れとかは、あんまり無かったですか?
そうですね、都会への憧れとかは、ないですね(笑)幼なじみとか同級生は「すごいね」とか「頑張って」って言ってくれて。小中学校の時から農業やりたいなって思ってたんですが、実はお母さんお父さんにもあんまり言ってなかったんです。人に言ったら「汚いな」と嫌がられそうだから、服屋さんとか、美容師さんとかになりたいって周りには言ってて。
夢が農業って言うと、止められそうなイメージでした?
そうですね、あんまりやってる人がいないし、周りの人の農業に対するイメージが悪いんじゃないかって私が勝手に思ってたみたいです、別に誰かに聞いたわけじゃないんですけど。けど、実際やってみると全然みんな応援してくれるし、楽しいですね。
おじいちゃんと一緒にやっていた農業と、実際に仕事としてやる農業はやっぱり違う?
そうですね、やっぱりおじいちゃんとやってた時はそんなにしんどいって感じることはなかったですね・・。やっぱり今は仕事、作業としてやるので、楽しいんですけど、お手伝いとしてやってるとはちょっと違うかなって思います。辞めたいな、辛いな、って思った時もありましたよ(笑)
大変な仕事でしょうし、辛い面も多いですよね?それは乗り越えましたか?
そうですね。乗り越えました(笑)自分が変わったという面もありますが、まわりの人に支えてもらったと思います。一番辛い時は、自分がしんどいオーラを出してたんですよ。そうすると当然、自分が周りの人をしんどくさせるし、自分もしんどいし。それに気づいた時に、これではダメだなと思って、変わろうって。自分が変わらないとって思いました。竹岡農園のみなさんと、たくさん話し合いをしました。
話し合いで記憶に残ってる話って、あったりしますか?
「迷惑かけていいんやで」って言ってもらえたんです。私はずっと「迷惑かけたらあかん」って思ってたんですが。それで救われたなって思います。そこから気持ちが変わって、今は楽しく働けてると思います。
竹岡農園さんの農業は、どんな印象ですか?思ってた農業のイメージとは一緒でしたか?
自然の、ありのままの姿でできたものを、提供してるって感じがしますね。大根を配達する時に、私一回不思議に思ったんですけど、とうが立って花が咲いてたんですよ。この大根って美味しくないのに何で野菜セットで届けてるんですか?って聞いて。とうがたつと美味しくないというか、筋が張って口当たりが悪かったりするんです。種をつくろうと、子孫残そうとして花に集中してるから、食べる部分のところはあんまり味がなくなってくる。でも、「これが、自然やで」って言われたんです。
どっちかというと思ってた農業のイメージと違ってたかもしれないですね。でも、「あ、それでもいいんやな」って納得して。
最後に、これからやっていきたいことはありますか?
今は野菜だけなんですけど、鶏とか、やぎとか、牛とか、生き物が好きなんで飼育したいなって思ったりもします。鶏飼いたいから鶏小屋つくりたい!って言ったら「いいやん、やり」って言われて。最初は張り切って鶏小屋の設計とかしてたんですけど、だんだんめんどくさくなっちゃったんですけど(笑)後でいいや、後でいいや、ってなって今は計画途中(笑)です。
「やりたいことあったらやり」って言ってもらえるのはここで働いていて良かったなて思うところですね。
「おじいちゃんと農業やってた時は採ったのは自分で食べるけど、ここのはお客さんが食べるものだから、どっちも愛情込めるけど、より丁寧に、よりきちんとしたものをつくろう、って思うようになりました」と高石さん。小さい頃から農業を仕事にしたいと考えていた高石さんにとっては、とても学びの多い仕事のようです。仕事として農業を選ぶ。その中で心境の変化があったこと、思うイメージと違いがあったこと、周りの人に支えられたことは、地方にある多様な個性と人の温かさがある、ある意味とても「丹波らしい」エピソードだなと聞いていて感じました。