社長対談Movie#1〜300年以上続く酒蔵の仕事。辞めていく従業員が極端に少ないのはなぜ?〜山名酒造株式会社・山名社長

安)こんにちは。

本日はですね300年以上日本酒を作る、作り酒屋の山名酒造の山名社長にお話しをお伺いしました。よろしくお願いします。

安)僕はよく知っているんですけども、山名酒造さんの歴史というか、どういうところから始まって今何代目になられるのかとか。

山)僕は今11代目なんですけども、過去のことはすぐ忘れてしまうタイプなんで、自分個人的にもそうなんですけども、家の歴史としてみても資料で残っているのは明治以降しかないので、写真でも色んな文献でも。何代も前の方がどういう方かということは辿れないですよね。ひいおじいさんぐらいまでかな。

安)元々作り方が始まった時というのは、第一代目のご先祖様がされたという形?

山)それは色々と面白い言い伝えがあって。

応仁の乱というのが京都であったらしいんですけど、大昔に。その時に山名氏と細川氏が京都の都を灰燼にして、その後山名氏一族は日本海にたくさんいたらしいんですけども、やっぱり御多望にもれず一族間の争いで何かあったらしくって、お隣の春日町の興禅寺という有名なお寺があるんですけども、春日局が産まれたというところなんですけど、そこの興禅寺の近くに一族が争いを逃れてきた。

そこで名前を変えて暮らしていたんですけども、もうそろそろほとぼりが冷めたから良いだろうということで、今から304年前にこの地に来て元の山名性に戻したという言い伝えがあるんです。

安)なるほど、また名乗って酒屋を始めたという。

山)言い伝えですから、分からないですけども。

安)社長が11代目を継がれたのは、おいくつの時?

ちょうど今から、都会で暮らしていて、僕ね実はここで生まれ育ったんですけども、田舎が嫌で嫌で。この地域が。もう小学校で嫌になっちゃって。もう、中学校から都会に出たんですよ。それから、都会に出て中学校から30まで都市部で暮らしていたんですけども、人間いい加減なもんでね、都会暮らしが長くなるとね田舎がユートピアに見えるんです。

モグラ肌でね、天邪鬼なんでね、人間って。

理想郷のようにね自分の田舎、小さい時に生まれ育った自然が豊かなこの丹波の土地が、何と素晴らしいんだと思うようになって、やっぱり幼い頃からこの蔵の中で職人さんと一緒にずっと寝起きを共にしてきたんで、やっぱりそのDNAというかな職人さんと一緒に仕事をするということがすごく好きだったんだと思うんですね。

それで今から30年前、30の時にこの地に帰ってきて、それから、その時はまだ父親がやっていたんですけども、2年後ぐらいに代表に変わりましたね。

安)その時は32ぐらい?30歳で帰ってこられたんですね。

田舎が嫌で都市部に出て、都市部も嫌で戻ってきて。戻ってきた時の蔵とか丹波の人って。

山)やはりね、いつの間にか田舎を理想郷ユートピアにしてまうんですよね。

でも、いざ帰ってきて見ると自分が幼い頃に育った田舎と違うということをすごく思いまして。いわゆる高度経済成長というんですか、当時、自然を破壊したり、人とのコミュニケーションも昔のように、昔この辺なんかみんなもう家開けっ放しですよ、誰も。

自分の家も他人の家もないような感じで行き来してましたけど、やっぱりそういう雰囲気でもなかったし。

安)32歳で蔵を継がれて、酒造りに対して意識していたこととか。昔と一緒のモノをやろうとしていたのか。もしくは、大阪に行って都市部で感じてきた感性を混ぜ込もうとしたのか。

山)いやね、自然環境も人との付き合いも変わっていたけれども、唯一変わらないものがあったんです。それはうちの酒造りやった。それは僕が小さい時に間近にしていたものと全く変わってなかったんです。時が止まってたんや(笑)

これだけは変わってないと思って。これならやれると思って。で、そこに自分の思いというかモチベーション。で、やっぱり父親も一生懸命やってましたけども、私は私なりのスタイルでいろんなことをやりましたね。

安)ちなみに、どんなことをされたんですか?

山)いや、一番最初にやっぱここに丹波市市島町っていうこの地域は、有機農業がすごく盛んな土地柄だったんで、全国でも本当に秀でたオーガニックの生産地だったんで、そこでできるお米で自然酒を造るのが一番アピールしやすいなと思って。当時ね、「夏子の酒」っていうドラマが流行ってたんですよ。漫画から、尾瀬あきらさんという方の原作なんですけどね、尾瀬あきらさんの原作をドラマ化して和久井映見さんが主役やったんですけども、そのドラマもね自然酒を夏子という蔵の女の子が仕込んでいくというストーリーだったんですけども、実は僕の妹が夏子なんです。全くおんなじ名前で。そこに出てくるキャストというか、名前の人も、荒木さんだとか日下部くんだとか、全くドラマに出てくるおんなじ苗字の人が僕の周りにいたんですよ。これは何かあるなと。すごくそのドラマが流行ってたんね。自然に作ったお米で、自然なお酒を造りましょうよというプロジェクトをねやったら、それがちょっとメディアに取り上げられて100数十名の申し込みがあったんですよ、一緒にそういう酒を造りたいという。SNSも何もない時代に、皆さんアンケート用紙にね「私はこういう思いで自然に即したお酒を造りたいんだ」という応募を書いて来られて。それをこの当時この市島町には4つの酒蔵があったんで、その蔵の当主が家に集まって、アンケートの中から100何十通来たアンケートの中から20人だけ募集したんです。募集した、セレクトしたんやな。もう募集終わってるから。

そしたらなぜか、これは意図はなかったんですけど、20名のうち18名が若い女の子だった、選んだのが。それはおっさんが選んだからじゃないよ。やっぱり女性はね、自己アピールが上手いんですよね。男のね申込書はね「うまい酒が飲みたいから」とかね。

18名の女性と2人の男性、みんな若かったですけども、本当一緒になって春から冬までお米を作って自然酒を造って蔵出ししたというのが一番最初のやったことですよね。

安)そこで18名の方が来られて、その方達はずっと酒造りの仕事をされてた方?

山)いや、みなさん素人のね全然職種の違う女性が、休み、皆勤められてるから、休日に来て、土日は全部建物の中布団敷き詰めてね、宿状態ですやん、宿泊施設になっちゃって。

安)そのプロジェクトに来る時だけここに来てたということですね。

山)毎週土日ですよね。特に今の時期は草が生えるから、ご存じだと思いますけど、草は手で全部除草するから、一町ぐらいしたんちゃうかな、面積的には。

安)無農薬のお米を一町。。。皆さん、一町ってあんまりイメージつかないと思うんですけど、一反というのが500坪くらい。それの10倍なんで5000坪ぐらいの農地を田んぼにして酒米を作られたというお話です。あの、水の中からですね山ほど雑草が生えてきてですね、それを手で一個一個。僕なんかすごくイメージ付くんですけど、めちゃくちゃ大変。なかなかすごい体育会系なプロジェクトですね。

山)売り先を全然考えてなかったんですよ。ただ、やりたいからやった。それでも、お酒は出来上がったんですけども、売り先がない状態だったんです。「夏子体験」というプロジェクトなんですけど、それをメディアがすごく面白がって、2社関西テレビさんと読売テレビさんがずっと追っかけて1年間。こういうお酒になりましたっていうとこまでやってくれたんですよ。そしたら、某百貨店が全部買ったと。

安)えぇ!すごい!後から仕入先が出てきた。

山)そう、だからそれは、後から全部百貨店が全部一タンク丸々お買い上げ下さいました。

安)社長として山名酒造さんに働きにきた方とか、働きに来たいって思われる方がいらっしゃる時に、ここだけは働いていても満足してもらえるよってこととか。

山)うちの従業員さんは皆さん長い方ばかりで、ほとんど辞められる方がいないんで、僕はぬるま湯なんじゃないかなと疑ってるんですけども。それはまぁ反面ねそれだけお互い信頼し合って仕事を進めているということだと思うんですけども、でも一方酒を造るということはすごく厳しい職人の世界なんでね、自分を律しなくちゃいけないしストイックにならなきゃいけない時もあるんですけども、やっぱりそういう喜びもね、物作りもあふれてますから蔵には、是非是非触れて頂きたいなぁと思いますね。

安)それこそ300年前から山名社長が子どもの頃に見てた酒造りっていうのは本当に変わらず。

山)それは、本当に江戸時代からほとんど変わってないと思います。仕込みの基本的なやってることも。こんなね昔ながらのお釜で湯を沸かしてね米蒸すなんてことはもうあんまりこの世にはね。

安)ちょうど今息子の洋一朗さんが帰って来られて、代替わりのタイミングなんかなと思うんですけど、社長がお父さんの代から代替わりする時によかったなと思ってたこととか、逆に自分が代替わりする時にこうしようと思っているとか。

山)僕は一切何も息子に要求するつもりは全くないですし、実は僕も父親から帰って酒造りを継げとか、帰って来てもこうして欲しいということは一切ありませんでしたね。だから、本人が、経営者が自分のやりたいようにやる。それに必要なのはやっぱり周りの協力と運もあるから、そこら辺はもう自分で開拓していくというか。

安)最後になんですけども、山名社長が個人としてこれからやってみたいなとか。山名酒造さんと関係なくても良いんですけども、何か考えていることとか膨らんでいることとか。

山)後は下り坂で人生下っていくだけだと思ってますので、あまり大それたことは思っておりません。ただ、昔からねこの場所で色んな職人さんやら色んな人たちが集まって、一つの物を作り続けてきた、まぁお酒というものなんですけども。という世界をね、できるだけ長く続けていくために、やっぱり時代を読みながら息子の手助けになればいいなと思ってんですけども。具体的に言うたら子守りと草引きですかね。

安)もの凄い具体的な話。急に。

山)やっぱり草を引くのが大変だし、人にね、さっき言うた人が集まる場所っていうのは、昔から、今集まったら三密を避けようと言いますけど、人が集まってきて喜んでもらえるというのは私が好きな世界なんで、来て頂いて楽しんでいけるような場所を作りたいな。それに対してちょっとでも手助けできたらなぁとは思いますね。

安)丹波市移住定住窓口、ローカルキャリアオンライン。本日は山名酒造の山名社長にお話しを伺いました。山名社長は代替わりで実際のやり取りは次期社長の洋一朗さん、次期社長さんに取り次ぐ形になるんですけども、もしこの動画を見てご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、山名酒造さんに直接お酒を買いに来るでもいいですし、たんばの仕事の方にお問合せ頂きましたらお繋ぎをさせていただきますので、もしご興味をお持ちの方がいらっしゃったらご連絡をお願いいたします。

安、山)ありがとうございました。

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