
安)こんにちは。たんばの仕事ローカルキャリアオンライン。本日は、建築の板金屋さんですね、田中建築板金の田中守社長にお話を伺いに来ました。どうぞよろしくお願い致します。
田)よろしくお願い致します。
安)建築板金というとね、何か建築の中の金属加工とか樋を作ったりというお仕事だと思うんですけれども、こういうもの(薪ストーブ)も作っておられたりするんですよね。これは趣味ですか。
田)そうそう。建築板金という種類に収まると薄板、ああいう鉄板。薄板の加工になってしまうんやけれども、うちの場合は建築板金と小規模な鉄工所の施設も用意しとるさかいに、やればやるほど上手になるという状態。
安)これは自作で作っておられる。
田)これ3時間。
安)薪ストーブになっておりまして、元々柱らしいんです建物の。めちゃくちゃ温かいんですけれども、本当にそういう意味でいうと、鉄とかに関する事は何でも作れてしまって、お仕事としてはあくまで建築の資材として使っていくということですもんね。
田)そうそう。
【田中さんの仕事について】
田)鉄を人間が作れる物やさかいに、僕らは真似したらできるはずというレベルからの鉄工をいろとるさかいに、やればやるほど上手になるし。
安)逆に言うと、その板金とかそういう技術が発展してきて、そういう建築に使われなくなっていったとかはあるんですかね。
田)コストですわ。
安)コストですか。それは素材ですか、人ですか。
田)人件費。例えば家一軒60坪の家を建てるのに、大工さんがかかるわけですわ、木の下準備に。大方ひと月かかるわけですわ。契約してから材料入って罫書いて仕上げて紙巻いて建前に運んで建前するまで、大方ひと月ってえらいんです、毎晩遅くまでしても。今はプレカットやから2週間もあったら来るわけですわ。コストが安い、人件費が安い。
安)なるほど。要は建築の中で言うと、田中建築板金工業さんの仕事っていうと、どういう仕事になるんですか。
田)外壁、屋根、それから樋をつける。木材以外。
安)自分のところで加工して設置する。
田)そうやね。外壁言うたら基本既製品やけど、最終的に取り合う薬物とかそういうものはここらで加工して自分で。一軒一軒全部違うんで。色も形も違うんで。それを僕らの最後の手間かけるとこやね。オール既製品でいこうと思えばいけるんやわ。それはちょっとね、コストかかるんですわ。逆に既製品を全部仕入れてしまうと仕事は早いかしらんけど、お客さんに対してコストが高くなってしまう。
ここにある材料で加工させてもらえたら、メーカーも板金屋みたいな下請け屋がおるんです。そこで発注かけて梱包してくるから既製品やけど、蓋を開けたらうちらみたいなもんが版作りよるわけですわ。だから一緒なんですわ。
安)色んな機械があって自分のところで作れるから、お客さんの建物に合わせて変えていったりとかもできるというわけですね。
田)そうそう。
安)大手の住宅メーカーみたいに、サイズがきちっと決められているところじゃない古い家とかをリフォームする時とかは。絶対に必要と言うことですよね。
田)そこなんよ。家と家の間に谷樋と言って樋を入れないといけない。
安)家そこ漏れてますわ。
田)そこを入れられなあかんわけで。それは百戦錬磨してこんと、見た目だけでは出来へん。せやけれどもコストをかけたらできるんや。「屋根全部めくってよ」「しやすいようにしてよ」って言われたらできへんねん。その間をいかんとあかんから、お客さんにはコストかからんように。せやけれども、あとメンテナンスいらん程度まではきっちりしといてあげんとあかんので。そこらが去年したことあるから今年できるかって言ったらそうでもないね。家一軒一軒表情も違うし形も違うし長さも違う。全ての条件が違うから、いきなりそんなところにポイと掘り出されてもほとんどできへん。手上げる。
安)本当にそういうところから全部やれるから、仰っていたように今までのお客さんだけで十分仕事が回るぐらいボリュームがあるって話ですよね。
田)今までのお客さんももう回れへんぐらい。年末に僕はカレンダー配らしてもらうんやけれども、カレンダー配ったらお礼の電話がかかってくるんやけれども、その時に「守くん、まだ請求書を書いてもらってないで」とか。そんなんや。
安)お金もらってない。
田)ああ、ごめん忘れとったわ!
予算並みと言うのもあるけれども、そんなんはどうでもええねや。もう僕は終活やから。あと10年程で辞めたい。この物件は一期一会。もう今日しか入らへんと分かったら、10年後20年後に僕は来られへんねやから。もう絶対来んでええ様に、今の令和3年で納得いける材料とレベルで最高に手入れて。あと来年になって新しい技術が開発されたらそれはそれやけれども。
安)信頼されるお客さんと満足度をしっかりがっちりと連携されているから、何かあった時に全部守さんに頼むっていうのを当たり前にしていて。しかも、守さんもピザ焼いて持っていったりとか、ケーキ焼いて持っていったりとか。
田)焼き芋がウケがええで。
安)何か、そのもうなんでしょうね、感覚が面白いなと思うんですよ。
田)僕ら経営が下手やから多分な。下手やねん。もっとお金もいただかなあかん部分、場面もようけあったと思うわ。
安)お客さんに本当に信頼されるっていうのを積み重ねてきて、コミュニケーションを取ったら満足しているから離れないですよね、お客さん。
田)蛍光灯の1本の付け替えとかな。本間に引っ越しの手伝いとかな。それを本当は料金もらわなアカンねんで。でも、そんなんかまへんやん別に。えーやん自分が空いとる時間やねんから。そんなが多いわ。持ち役とかな。
安)そんなん呼び出されるんですか。家を守る板金のお仕事があって、お客さんとの信頼性関係性みたいなのをしっかり構築しているから、どんどんどんどん仕事の量が増えていくという流れになっていると思うんですけれども。新しく人が来たりとかお弟子さんとして育てていく時に、守さんがいつも雇っている体型が面白いなと思ったので、ちょっとその辺の話を聞きたいんですけれども。
【勤務体系について】
安)ガンガン独立せぇみたいな話でしたよね。
田)そうそう。だからね、世の中には従業員に向いた性格の人もおってやわ。経営者に向いた性格の人もおる。これ世間一般の考え方。せやけど、人間はそんな簡単なものやないねん。従業員の子でも一皮剥いたらバリバリの経営者になれるし。経営者って経営しとる体で従業員に使われとる経営者もようけおるわけですよ。人間なんぼ色では分けられん。せやけれども、その時の気の持ちようというか使われとったら楽やなと言う選択をした人は従業員向きですわ。その選択をする時の家庭状況であったり自分の経済状況であったり。世間の景気であったりするものに左右するけど。仕事に対して動ける、できるという能力は全員持っとるわけで。それを出そう、引き出そうとするここがポイントで。僕の手伝いだけでは人生つまらんやろうと。あんたが一生懸命汗流して、僕の店の利益になるのはもったいないやろ。あなたが汗流したものは、全部自分で持ってかえりないなという関係でおりたいね。
安)具体的にはどんな勤務体系。
田)僕のところは朝7時半に来てもらって8時には絶対現場に到着するようなスタイル。17時には現場を出て5時半6時までには自宅に帰っていただきたい。人間らしい生活を送っていただきたい。そのために、どうしないとあかんかを常に考える子であって欲しいね。早ようしまいたいならどうしたらいいの。ずっと逆算すれば、朝から頑張ればええ話。昼までに終わりたい。ほな、朝1時間でも早く出てこないとしゃーないなということを考えられないと、今日は8時にきて17時で終わって1日なんぼになるっていう仕事をしとったら、僕はかまへんわ。来てもらった分はちゃんと払うさかいに。せやけど、その本人が全然仕事面白くないね。
安)守さんのところで雇っている子を、別の現場に行かせた時の話とかも面白かったんですけれども、すごく褒められたりするって言っていましたもんね。独立したお弟子さん達に機材を貸してあげたりだとか、車も全部貸してあげるんですよね。それは何でなんですか。
田)買うん高いから。
安)お弟子さんが買うのが。
田)そうそう。こんだけのね、設備を用意したら2000万円ぐらいかかるわね。
安)聞いていたら、お弟子さん達にとってはものすごいありがたい話だと思うんですよ。守さんに返って来るものとかはあるんですか。
田)ないよ。ノーリターン。あの人はアホやったと言ってもらえたら、僕はそれが最高の褒め言葉。
安)ロックやなぁー。
ありがとうございました。たんばの仕事ローカルキャリアオンライン。本日は、板金をメインに建築のお仕事をされている、田中建築板金工業の田中守社長にお話を伺いました。どうもありがとうございました。